自分の身体とつながる(鶴見区 Nさん)

鶴見区 Nさん 30代女性

 

野口整体のことを知ったのは、8年ほど前のことです。私はもともと「自分の身体感覚に対して鈍感である」という自覚がありました。そのためか、身体がつらくても倒れるまで無視して働いてしまうことや、やりたくない仕事でも「やらなきゃ」と言い聞かせて頑張り、結局はいい仕事ができない…といったことがよくありました。当時は体調を崩して仕事を辞めたばかりだったこともあり、ヨガや気功など東洋的な健康法に関心を持つ中で、野口先生の本に出会いました。

ただ実際に活元運動や操法を体験できる場所には、どうも足が向きませんでした。なんとなく道場然としたこわいところ、というイメージがあったからです。
8年越しで野口整体を実際に体験しようと思ったきっかけは、「自分のことがわからない」と痛感したことです。自分がどうしたいのかわからない。自分の身体が今どう感じているのかわからない。病気は何年も前に完治し仕事も順調でしたが、いつも疲れがとれず、大事な仕事ほど不安と緊張がつのり、実力が発揮できないことが多々ありました。自分自身の手綱を見失っているような心細さの中で、思い出したのが野口整体でした。

切羽詰まった思いで「野口整体 横浜」と検索して、最初に目に留まったのが『せい氣院』のウェブサイトです。それまで勝手に抱いていた「こわい道場」のイメージとは全然違って、サイト全体や写真から伝わってくる雰囲気がとても心地よく、「行ってみたい」と素直に感じました。

初回は身体を見ていただく時間を含めて、3時間ほどじっくりお話をしました。朝比奈先生がとても話しやすく、ずいぶんいろいろなお話を聞いて頂きました。特に印象に残っているのは、先生にいわれた「自分の力を発揮して十全に生きる」というお話です(言葉遣いは少し違うかもしれません)。自分は今より強くなるとか、すごくなる必要があるわけではなく、どんなときでも自分らしくのびのびと楽しくやれればいいんだ、と目からうろこが落ちたような思いでした。

かゆみや下痢も、身体がゆるんでいく過程

はじめは身体の状態を先生に見ていただいても、正しく座る姿勢を教えていただいても、まったくピンと来なくて、情けない気持ちになることもありました。それでも先生の問いかけを糸口に、今の身体の状態がいつ・何をきっかけに起こったのか、1〜2週間の生活を振り返りながら身体と向き合う時間は、毎回とても密度の濃い時間でした。一回で身体や気持ちがすごく軽くなることもあれば、そこまで実感がないこともありましたが、3ヶ月、半年と続けていくうちにたしかな手ごたえを感じるようになりました。

まず身体の不快な症状の捉え方が変わってきました。「下痢をしている時は体がゆるもうとしている」と教えていただいてからは、体が回復しようとする正常な働きなんだ、と思えるようになりました。また少しずつですが、強いストレスなどを感じた後「このあたりが偏っているな」と自分の状態が感じ取れるようになりました。そうやって日々、自分の身体と向き合うことが、今は何より面白いです。

たとえば私は以前から、じんましんや虫刺されなど皮膚の痒みに悩まされることが多く、身近な人たちから「いつもどこか痒がっている」と言われるほどでした。それもほとんど足・脚ばかりに集中して出ます。ある時、海外出張で足〜脚にかけて何箇所も蚊に刺され、かなり腫れたので先生に見せたところ、「固くなったり縮んだりしているところが刺されやすい。しっかり掻いてください。」と言われました。それまでずっと「痒くても掻いてはいけない」と思っていたので、びっくりしました。そういえば出張中、移動が多くて気が張っていた最初の一週間は何事もなく、ホテルに落ち着いた次の一週間で下痢が来て、一気に蚊に刺されたのを思い出しました。こうした症状も「ゆるんでいく」作用の一つだったのかな、と思いました。

働き方や人間関係にも変化が起き始めた

また、先生に「頭を使いすぎて甲高になっている(靴がきつく感じる時、正座をすると痛い時など)」「“地に足がついていない”時は、実際に脚の後ろ側(アキレス腱やハムストリングス)が縮んでいる」といった指摘もよく受けます。昔から頭でっかちな人間だと自認していましたが、普段から言葉を扱う仕事をしているため、どうしても頭ばかり働かせて腰から下がおろそかになるようです。そこで椅子に座る時、なるべく坐骨を意識して坐ることを心がけるようにしました。緊張やプレッシャーで浮ついてしまうときは、特に気をつけて座るようにしています。また年間の3分の1は旅暮らしの上、複数の家や事務所など拠点が分散していて落ち着きのない生活だったのを、1カ所の自宅兼事務所にまとめました。

そのうち先生に「腰がしっかりしてきた」と言っていただき、自分でも「大事な場面で力を発揮できた」「以前なら動揺して失敗していた場面でも自分らしく振る舞えた」と感じることが増えてきました。少なくとも自分で「失敗した!」とくよくよ悩むことが少なくなり、「誰にどう言われようと、私は満足」と感じられることが増えてきました。そのせいかわかりませんが、よい成果が出せ、評価もいただけるようになってきました。

ですが一番大きかったのは、家族との関係の変化です。母と私を含む姉妹は長年、父から言葉の暴力や精神的な抑圧を受けてきました。でも反抗するともっとひどいことになるので、みんな我慢して従っていました。野口整体を始めて10ヶ月ほど経った頃、家族間の揉め事があり、私が仲裁することになりました。その時初めて、怒って怒鳴ったり脅したりする父に対して、感情的にならないでほしいこと、父の振る舞いが家族を長年傷つけてきたこと、父の意見の間違っている点・正しい点、自分の意見や気持ちなどを正面から、しっかりと伝えることができました

その直後に、指導を受けに伺った時のこと。まだ何も伝えていないのに、先生がちょっと驚いたように「腰がまっすぐ立って、ずいぶんしっかりしていますよ。」とおっしゃったので、びっくりしました。身体がしっかりしてきたことで心の持ちようや行動が変わり、自分の情動を活かして行動できたことで身体に変化が起きたのかもしれません。身体、心、行動(生活など)は全てつながっていて、互いに影響し合っていることを実感した出来事でした。

自分自身と向き合う、かけがえのない時間

今は約2週間に一度、指導を受けています。せい氣院の扉を開けた瞬間から、日常生活とは時間の流れが変わるような感覚があります。空間全体のもつ空気がりんとしていて心地よく、心身ともに静まるような、清められるような感じ。2週間に一度ここを訪れるだけでも、私にとってはかけがえのない時間です。

指導中の心の中は、しんと静かになるときもあれば、激しく動揺するときもあり、毎回まったく違う体験です。先生はいろいろな話をしてくれることもあるし、あまり多くを語らないこともあります。愉気を受けている最中は頭が休んでいることが多いので、言われた言葉はその場ではすぐ理解できません。わからないまま持ち帰って、心の中に留めて日々を暮らしていると、ふと「あ、先生が言っていたのはこれかも」と腑に落ちたり、「あ、あのとき言われたことを試してみよう」と思い出す瞬間がやってきます。

すると体験と共に、ようやく先生の言葉が自分の中に入ってきます。「あ」と思った瞬間に、きっと身体に何か変化が起きているのだと思います。そういう意味で、整体指導はせい氣院での2時間で終わるのではなく、暮らしの中まで続いているのだと思います。
そしてまた2週間後、先生に導かれながら、自分の身体の変化と向き合います。このプロセスが、とても面白いです。なぜ野口整体を続けているのか?と訊かれれば「面白いから」と答えます。野口整体、そしてせい氣院と出会えて本当によかったと日々感じています。