当院の整体

当院ではお越しになった方が自分の力で治っていかれるように、出来るだけ小さな刺戟を使って大きな治癒効果を引き出すことを心がけています。

外から大きな力を加えて一時的に良くなったように見せることはできますが、そのような方法の大半は生体の持つ本来のバランスを崩すことになり、長い目で見たときにクライエントさんのためにはならないことが多いのです。

やはり心を落ち着けてご自分の身心と向き合い、少しずつでも「問題の本質」を明らかにして行くやり方が、遠回りのようで一番着実な道です。

このようにしてクライエントを「整った体を自ら保とうとする心に導く」ことが目的ですので、一般的な整体院でいわれる「施術」ではなく、「整体指導」(または個人指導)という表現を使っています。

こちらには当院で行なっている整体指導のおおよその手順をご紹介いたします。

カウンセリング(傾聴)

毎回お身体をみる前にカウンセリング(お話を聴くため)の時間をお取りしています。今のお身体の感じやご気分についてお話を伺うだけですので、無理に自分自身の辛いところを掘り下げたり、悪いところを治そうとする必要はありません。そのときに思い浮かんだことだけをご自身の負担にならない範囲でお話していただくための時間です。もちろん最低限のマナーとして秘密は厳守いたします。

毎回15~40分くらいの間ですが、いろいろとお話をされるうちに自分で自分の考えていることが整理できたり、ひとりでは気づけなかった心の奥にある「思い」や「感情」に出会うこともあります。あるいは今まで同じ所をぐるぐると思い悩んでいたところに新たな道が開けて、停滞した心のエネルギーが流れ始めるような感覚を味わうこともあります。

カウンセリングは「カウンセラーに悩みを解消してもらうもの」というイメージをお持ちの方も多いようですが、本来の姿は「保護された自由な環境の中で、クライエントが一生懸命考えたり悩んだりする時間を供にすること」です。治療者の方から特定の考え方を押しつけたり、主観的なアドバイスをすることはありませんので、自分のペースで無理なく治癒(心身の変化)を進めて(深めて)いくことができると思います。

手当て(触れる:愉気)

お話を伺ったあとで、次に「手当て」を行っていきます。身体に手を当てて心身の状態をトータルに観察しながら、緊張しているところをゆるめていきます。この「手を当てる」という方法は古来から万能の治療法として、その神秘性と共にさまざまな宗教や治療の現場で伝えられてきました。

「手を当てるだけでどうして良くなるのか‥」、考えてみると不思議な感じもしますが、近年では科学的研究も進んできたことでその効果を客観的に実証する向きもあるようです。ここではその科学的根拠にまで触れることはいたしませんが、理論をあれこれと学ぶよりも実際に受けてみた時の「感じ」がそのままあなたにとっての「事実」であり真実になると思います。

当院の「触れ方」は過度な刺戟を加えるようなことはなく、もともとの生命のバランスを乱さない範囲の自然なものです。刺戟はあくまで「気持ちが良い」という程度にとどめて、後は身体の自発的な快復要求が起こるまでひたすら待っています。今まで他の治療法などで強い刺激になれてきた方や、頭の忙しい方などは初めのうちは効果を実感しにくいかもしれませんが、しばらく繰り返していると小さな刺激でもちゃんと身体が変化する感覚を楽しめると思います。

気づき

「気づき」は治療の方法というより、来院された方の中に起こる重要な治癒のプロセスです。

対話と手当てによって心と体のリラックスが上手く進んでくると、頭の中が落ち着いて、静まってきます。この状態の時に今まで感じていなかった凝りや痛みに気がついたり、または身体の中に抑圧された「感情」や「気持ち」がしまい込まれていることに気づかれる方もいます。実はこうした自分でも気づかない「感情の滞り」が知らず知らずのうちに身体の調子を乱していることがとても多いのです。

というよりも、病気やケガの多くは過去に出しそびれた感情に気づかせて、それを手放すために起きているとも考えられるのです。このように滞った感情エネルギーを早期に見つけ出し、心身を苛(さいな)む前に上手に解消していく作業は、当院の技法の中では大きな比重を占めています。

世の中にはたくさんのすばらしい治療理論や技術がありますが、どれもその根本まで辿っていくと「身体のリラックス」と「感情の解放」が鍵になっていることが解ります。それほどに自分自身の「心」や「体」というものは身近でありながら見失いやすく、忘れられがちなのです。心身の正常な感覚を取り戻すことは、全ての治療理念を貫く根本原理です。

自由運動(動く:活元運動)

身心の感覚が正常に戻ってくると自然と動きたくなるものです。例えば仕事で何時間も同じ格好でいたことや、渋滞などでずっと運転席に座りつづけてとても疲れた、という経験はどなたにもあるのではないでしょうか。このように自分の意思に反してじっとしていることは人間にとってかなり大変な作業です。

それは何故かといえば人間というのはもともと「動く」ようにできているからです。健康とは自然に良いように良いように、どんどん動いていける身体である、と言うこともできるでしょう。どんなに辛い病状にある人でも少し元気になってくると必ずこの「動きたい気持ち」が出てきて、自然と身体のバランスを取る動作が出てきます。

そして「動きたいように、気持ちの良いように動く」ことで、さらに力みがぬけてリラックス状態が深まっていきます。はじめは寝返りのような動きを指導者が誘導することもありますが、慣れてくると触れただけで自分から気持ちよい体勢をさがして動いていくようになります。

当然中にはこのような「自然な運動」がすぐに出ない方もいますが、それについては全く気にされる必要はありません。とにかく「自然体、あるがまま」を感じ、うつ伏せやあお向け、横向きなど楽な姿勢のまま「手当て」を受けていただくだけでも治癒力は充分に引き出せます。

見守る

どんなに適切な方法に出会い施したとしても、人の心の成長や治癒の過程というのはそれぞれ固有のものであり、ときに長い時間と道のりを辿ることも珍しくありません。それはちょうど川の流れを遅らせたり早めたり出来ないように、生命の裡なるリズムも人間の思惑によって早めることはできないのです。

これについて、野口整体では「病症を経過させる」というホリスティックな観点をいち早く(昭和の初期から)確立していました。指導を受かられる方が主体となって、自分自身の理解を少しずつ深めながら、心も体も自然のリズムに沿って快方へ向かう「プロセス」を何より重んじます。急激に「何かを変える」のでなく、今のままの自分に寄り添うように肯定的でやさしい気持ちを保つことで、いのちの自由性は最大限に発揮され、思わぬ好転反応が起こることもあるのです。これが当院の考える自然治癒の理想形です。

実際の臨床ではここに挙げた手法以外にもさまざまな方法が生まれていきます。それは何故かといえば、整体指導の実際は、お会いした一人ひとりに適う技術や考え方を、一回ごとに探し出してゆく創造的な共同作業だからです。
そうして生まれたさまざまな方法をバランスよく施していくことによって、一人でも多くの方にご自分の〈いのちの力〉に気づいていただきたいと願っています。