腰痛(急性・ぎっくり腰)

ぎっくり腰は何故なるのか

ぎっくり腰というのはなったことのある方にしかその辛さがわかりません。ある日突然、ある動作をきっかけにまったく身動きが取れなくなるのです。先ず立って歩けない、坐っていても辛い、そーっと寝っ転がっている時だけ、かろうじて痛くない格好がある。酷いものになると、だいたいこのような状況になっています。

西洋では「魔女の一刺し」と言われるそうです。「何故そうなったのか?」がわからないと、不幸にも突然降って沸いたように、激痛が走ったようにしか見えないのですね。もちろん身体は理由もなく壊れるようなことはありませんから、痛む時には必ず痛む原因があるのです。

経験的には引っ越しの直後とか産後とか、何か心理的なショックを受けてから半月~1ヶ月以内にぎっくり腰はなることが多いです。あと若い時にスポーツをやっていた男性が、何気ない動作(くつを履く時など)でなることもよくあります。

いずれにしても、ぎっくり腰は、腰の筋肉の疲労が臨界点を越したことを意味しています。

休養をしつつ温める

ですから、まず鋭い痛みが走ったら何を置いても今すぐに「休む」ことです。ごろごろ寝転がっている時間が長ければそれだけ早く動けるようになります。だいたい一週間から長くても二週間もすれば楽になります。ところが二週間以上たっても、一向に良くならない人がいます。今までの経験上、こういう方の多くは(ほぼ男性でしたが)、何かご自分で勝手に「リハビリ」をやっています。「早く良くしよう」として、スクワットや腹筋、ストレッチなどをしていると、なかなか疲労が抜けきらないので治らないのです。だからまず「とことん休む」ということが一番大切です。

時々「ぎっくり腰は温めるのか、冷やすのか」ということを聞かれますが、これは温めた方が良いようです(経験則です)。ですがその「温め方」が大事です。どうすればいいかというと「蒸しタオル」をおすすめします。昔は炊き立てのごはんを、木綿の布でくるんで患部に当てる、という民間療法があったそうです。

共通することは「湿度のある熱めの温度」で「短時間刺激」することです。何故かはわからないのですが、湿度を伴った温度の方が、筋肉がよくゆるむのです。ですから、熱めの蒸しタオルをしぼって痛いところに当ててみてください(これだけでもかなり気持ちよく、経過がよくなります)。一回5、6分でけっこうですので、間隔を8時間以上あけながら痛みが引くまでこれを繰り返します。なおわきばらが固くなっていることもありますので、その場合はおへその高さの両わきに蒸しタオルを当てることも有効です。

整体ではどうするのか

開業したばかりの頃は、「ぎっくり腰なんですが‥」と聞いたらすぐに来てもらいました。ですがぎっくり腰や寝違えというのは性質的には「捻挫」に近いのです。ですから、痛みがピークの時に歩いて来ていただくのは、効果が無いばかりか、ときに症状を悪化させるのだと思うようになりました。ですから今では痛みが引くまで自宅で蒸しタオルをやってもらって、歩けるようになってから「ぎっくり腰にならない身体作り」を一緒にやっていきます。

ぎっくり腰に共通しているのは、「自覚の無い筋緊張」です。自分ではどこも疲れていない、と思っていても身心両面のストレスで微量に緊張しているのです。柔軟性を欠いた身体は、例えるならゴムが凍ってしまっているようなものです。常温ならば捻じっても引っ張ってもなんでもないものが、凍っているために、ちょっとひねった瞬間にびしっと割れてしまう、これに似た状況が身体上でも起きているのです。

先ずは、カウンセリングと気の手当て(愉気)で心と体の「緊張癖」をとっていきましょう。以前、高校生のころから2、3年おきにぎっくり腰を繰り返している方をみましたが、成育環境などもろもろの問題でからだのあちこちが硬張っていて大変でした。だいたい一年ほど通ったと思いますが、背骨を中心に身体全体が柔らかくなりましたので以来急激な痛みに怯える必要はほとんどなくなったのです。

まとめとしては、急性・一過性の痛みには上で紹介したような熱刺戟を用いますが、長期的には体質改善が必要です。痛みがある時も、ない時も「自分が今ムリをしていないか?」をよく見てみることが大切です。