せい氣院

体癖

自分らしさは身体にある

体癖とはその人らしい考え方や感受性が、個人の体型や動作の習性と関連しているという見方です。人間における、一人一人異なる感受性を「体の癖」という角度から見ることで理解を深めることができます。

体癖は整体を創始された野口晴哉先生によって大きく10種類にまとめられました。1日あたり百数十人の身体を観るという生活を生涯続けたことで、「いつも同じような疲労の仕方をする人や、似たような行動をする人達のモデル」を見つけ出したことに起因します。

身体から人を理解する

体癖は上下型1・2種、左右型3・4種、前後型5・6種、捻じれ型7・8種、開閉型9・10種と分類されています。

自分の体癖に合わない生活をしていたり、自分らしさを発揮できない生き方をしていることは当人にとって大変不自由でつらいことです。

逆に自身の身体的な特性をより深く理解していくことで、余分に身体をこわしたり不快な情動に振り回されることは少なくなっていきます。

身体を通じて「自分らしさ」をよく知っていくことは、それぞれの素質に適った生活を築くうえで非常に大切な視点となります。

体癖表

体癖表

※奇数体癖は余ったエネルギーを身体の特定の部位(動作の焦点となる内臓や器官)を使って鬱散しやすく、偶数体癖は逆に特定の部位がはたらきが悪くなり毀しやすい。

例1)消化器型の左右型は3種と4種にわかれています。3種がいつも感情と一緒に胃袋が動く(やけ食いなどをする)のに対して、4種は感情面で何かが引っかかると何も食べられなくなります。3種は好きな食べ物をよく思い浮かべますが4種は偏食、嫌いな食べ物に敏感です。

例2)前後型は呼吸器(肺)の意識が濃く5種・6種に分かれます。5種は呼吸器がよく発達しており、体を動かして前進することや、周囲から目立つことに関心を持ちます。機械のような合理性を好む反面、感情を受け取ったり微細な審美観を問われるような作業(芸術など)はやや苦手です。それに対して6種は目立たないことを好み、身体をうごかすと呼吸器から疲労してきます。また、6種は美しいものきれいなものに敏感です。

自分自身を知ることで個性を活かす

体癖は身体を丁寧に観察することで「自分にはどんな習性があって、どんな感受性の傾向があるのか」を深く理解することができます。

例えば野菜を切るときは包丁を使いますが、木や氷のような固いもの切る時は包丁よりもノコギリの方がよく切れます。「機能」というのは環境によって発揮されるのです。人間の才能や特性というのもこれと一緒で、個性というのは能力以前の問題と言えるでしょう。

そのために体癖論を理解していくことで人それぞれの得意不得意を理解し、不足を庇い合ったり長所を活かし合ったりして生活していくことが個においても集団においても豊かに生きることに繋がります。

体癖各論