汗の内攻
四月も半ばになると、温かさを通り越して、少し暑い感じの日があり、そして翌日は、また寒くなるというようなことがあります。すると予定していたようにドカドカと、病気が増える。これは明らかに汗を出して、そのまま冷やしたためです。そういうことが毎年あるので、今日は汗の話をしようと思います。
…汗をかいて冷たい風に当ると、風邪を引く。寒いから風邪を引くわけではない。汗をかいたのに、それを冷やして風邪になるのです。そういう風邪は“汗の内攻”というべきもので、ドカドカと熱が出て、汗をかいてしまえば、自動的に治ってしまうのです。その汗を冷やすと、いろいろな変動がおこりますが、またその汗をドカッと出せばそれっきりよくなります。
冬の風というのは、真向かいに受けると、心臓に影響があります。向かい風が悪いのです。ところが、暖かになってからの風は、背中に受けると内攻しやすいのです。夏は背中の風を警戒し、冬は向い風を警戒するというのが、吾々の常識になっています。
…それでは、汗が内攻すると、どういうような徴候が起こるか。
先ず、だるい、手足が重い、皮膚が硬張る、筋肉が痛む。また呼吸が苦しくなる、体がむくむ、妙に眠くなるというのも、みんな汗の内攻の徴候なのです。汗の内攻は、必ず呼吸器に影響があります。(野口晴哉著 『体運動の構造 第一巻』 全生社 pp.19-22)
一昨日汗の処置について書いたので、文献でおさらいした。毎年初夏になるとこの作業を一回はやっている気がする。
「汗を冷やした」と言った時に原因としてダントツにあがるのはエアコンです。電車などでは早々とクーラーが掛かっていたりするので、通勤途中でかいた汗をそのまま冷やして体調を崩すことが多い。そのままうっかり寝てしまうと余計にこたえる。眠ってしまうと体温調整が行われにくいので、無防備になる。特に着衣が湿っている時は風に注意したい。
それから寝冷え。春は寝入りの時間帯に比べて明方が冷えるので、できるだけ外気の寒暖差に冒されにくいよな環境を心がけよう。
さて一度引っ込んで内攻した汗を出すには、後頭部を蒸しタオルで温めるのが有効だ。だるさが抜けるまでタオルを絞りながら繰り返し当てていく。そうするとどこかで皮膚が弛む感じがわかるので、そうしたらそこでやめる。朝晩行えば1~2日くらいで汗の内攻によるダルさは抜けてしまう。
経験がないのだが、サウナも良い気がする。古来から「温熱療法」というのは形を変え、姿をかえて何度となくリバイバルされてきたものだ。それだけ「冷やす」というのは万病の種なのだ。汗は身体を冷やすために出るんだけど、その性質と処置は知っておくといい。
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