せい氣院

視点と価値観の転換

最近になって医学界においても「発熱」の有益性が認められ、「出ている熱をむやみに下げてはならない」という考え方が定説となってきましたが、一般的にはまだまだ「熱は良くない状態」「速やかに治すべき病症」として扱われるのが現状です。

整体指導に通われる方でも半年一年と経ちますと「病症は身体を整える働き」というように、ある程度の理解が進んできます。

ですがふいに風邪などを引くと途端に薬を飲んで、余分に寝て治そうとする方がいます。そのたびに頭の「理解」と体の「自覚」というのは、こんなにも隔たりがあるものだといつも考えさせられるのです。

整体に取り組む前に

今まで何の疑いもなく「痛み=悪いもの→治療」というふうに過ごしてきた価値観が、体に備わっている「自然の力を味方につけてうまく利用する」という健康観・病症観へ転換されない限り、整体の取り組みは効果のないものになってしまいます。

魔法のような施術を期待したり、取って付けたようにマニュアルの良いとこ取りで整体をやろうとすると「首から下は湯船につかり、頭から氷水をかぶる」というような無茶苦茶な刺戟になりかねません。

まずは生まれてから今日まで、自分の命を保ってきた「ある働き」というものに目を向けることが始まりです。

これまで寝ても覚めても必要に応じて熱を出し、下痢をして、身心のバランスを保ってきたものは一体「何」なのか。

この「ある働き」の方に信を置くことを基点とします。

そして、基となる価値観を互いに共有することから取り組みを進めていきます。

治癒のプロセス