整体を保つために
整体の初期段階では「体が整っている感覚」を味わうことを目的に指導を進めます。
当院で治療や施術という言葉を使わないのは、整体の本来の技術が他動的に体を調整したり矯正することではなく肉体本来の自然な「流れ」を取り戻すことを主眼としているためです。
例えるなら川の水を堰き止めたり流れを邪魔している石を見つけて、これをどけていくような作業です。
水の流れを阻害している石を一箇所どけることで、どっと水量が増えて流れ始めることがありますが、整体ではこれに似たことを人体上にみることができます。
大切なことは体の中の流れを乱しているポイントを見つけ出すことです。そしてそれを的確な技術で取り除き、体の重心線を正したり、または血の流れや氣の流れ、意識の流れをスムーズにしていくことです。
健康を維持するための感受性
人間の体運動や感情活動は全て中枢神経を通じて背骨に記録されています。ですから操法の技術は主に、頭蓋骨から背骨、骨盤にかけて脊髄神経へのアプローチが主軸になります。
体の変調はかならず脊椎の、目には見えないわずかな変化から起こります。
整体ではこの変化をいち早く知覚して当人の力で整うように刺激することで、敏感な身体を育てていくことを目的としています。
身体の細かな感受性を育てることで大きくバランスを崩す前に偏り疲労を修正し、健康を維持するための一定の秩序を身体に形成することができます。
治癒力が発揮される自然な身体へ
整体の技術は全て身体の自然治癒力が前提になっています。治癒力が発揮されない原因は「心の葛藤」や「頭の余分な働き」が身体の自然を乱していることにあります。
身体のあちこちに筋のこわばりがあるうちは頭の緊張はほぐれません。操法によって体の疲労箇所を刺激して弛め、脳の過剰な働きを休めていくことが整体操法の目的の一つです。
身体からコリやこわばりがなくなると意識の活動が鎮まり、身心が静寂で満たされます。身体は静けさを与えられることで自然の働きが現れ、そこに治癒力が発現されていきます。